こだわりの釉薬― 乃利陶窯(有田焼)・筒山太一窯(波佐見焼)
手作りの白いうつわに魅せられる。
それは探し求めていた白に出会えたうれしさや、シンプルなライフスタイルに似合うからでしょうか。
陶芸作家やブランド品……町には多くの手作りの白いうつわがあります。
また、一言に白と言っても、青味がかったものやアイボリーに近いものなど様々。
そして、もちろん、有田焼にも素敵な手作りの白磁はたくさんあります。
今回は、特徴ある白の質感が人気の乃利陶窯をご紹介いたします。
こだわりにこだわりを重ねたブレンド白釉、その名も「李白釉」。
李朝白磁にみられるしっとりとした白に近づけるため、
有田陶磁器の聖地・泉山の陶石などにわら灰やミカン灰を混ぜたそう。
この李白釉のやわらかな白は、四季の移ろいをそのときどきに受け止める豊かな表情があります。
まだ春というには寒すぎる今、シチューや根菜煮込みで温野菜ブランチです。
お料理がのると印象はガラリと変わり、ブライトアップされるかのように美味しく見えるのがわかります。
ざっくりと家庭料理を盛り込む。
その自然体な雰囲気が日々の食卓に充実感をもたらしてくれます。
窯主・樋口氏は商社オーナーでもあるため、うつわの目利きは抜群。
使い手の求める大きさや形をよくご存じです。
だからシンプルで、使いやすいサイズであることにも定評があります。
丁寧なしのぎ(鉋線彫り)で陰影が出て、ぐっと締まった印象なのもいいですね。
スローな雰囲気を醸し出しつつ、洗練されたラインが見られることにKikoujinのおすすめポイントがあります。
食卓の統一感を崩さないデザイン性の高さが乃利陶窯にはあります。
大人の食卓には欠かせないセレクトの調和。
手に入れる価値がありますね。
そして、その白に寄り添うインパクトのある筒山太一窯のマグカップ。
そのボディはどっしりとしたドラム型を面取りし、反らせたような優雅なライン。
どこかクラシカルでそれでいてすっきりとした形です。
この美しいブルーは、白釉とブルー釉を合わせたもので熟練の職人による手作業で仕上げれます。
透明感とアイスブルーのグラデーションの深み。
これが釉薬の魔法ですね。
手にするたび、心奪われてしまうのです。
黒飴釉の方は、朝鮮唐津風に垂れや滲みの表情が楽しい仕上がりになっています。
ビターな色は気持ちを落ち着ける効果があるように思えるのですが、私だけでしょうか?
内側にも美しいグラデーションが広がり、使うほどに愛着がわくようなマグです。
磁器の町有田・波佐見においても、こうした土ものへ情熱を傾ける職人たちが日々柔軟な発想でうつわ作りに励んでいます。
こちらでは愛情を込めて「つちもん」と呼び、その磁器とは違う多彩な表現に魅了され、刺激を受け、ときにはタッグを組み、新たな境地に挑戦している昨今。磁器も土ものも、その特性に違いがあるからこそコラボする意味が出てくるという。うつわの歴史はまだまだこれからも続きます。
仕事の休憩時間に、マイ・黒飴釉マグでお茶を飲んでいると「いいねー」とうつわ好きのラブなまなざしに囲まれました笑。
共に陶磁器業で仕事する仲間でも、「つちもん」の談義は盛り上がるものです。
磁器と土もの。それぞれの魅力がテーブルで花咲く、贅沢ですね。